2017年5月5日金曜日

ここに来てなぜか動画を配信してみる

 僕が生まれて初めて手に取ったマンガは、ハードカバーの「アタゴオルは猫の森」である。面白いからぜひ読めと父の強力プッシュで、物心もつかないうちから絵本に混ぜて読み聞かせてもらったのであった。それは間違いではなくて、幼い頃から良質のファンタジーに触れることができたて本当によかったと思う。
 同じシリーズの第2巻「ヒデヨシ印の万華鏡」では、主人公の破天荒な迷惑ネコ「ヒデヨシ」が森中の草花をスピーカーに、雲に自分の姿を映して放送局を開くというステキな話がある。好き勝手なことをわめいたり下手な歌をうたったりするので、森からは苦情が殺到する。見かねたヒデヨシの仲間たちは、どうせなら楽しいものを放送しよう…と劇を上演する。僕はその話が30年来大好きだ。

 今の時代、文章や音楽だけでなくて映像も手軽に配信できるのだから、軽い気持ちで楽器を弾いてその模様を放送してみたい。ただ、弾いたそばから忘れていく僕は、ゲー音部のさば夫さんみたいにすごいレパートリーがあってどんどん曲を弾けるほど上手じゃない。また、中途半端に凝り性な部分があって、楽に作ったものを人前に出せないのである。



 ただ、最近2ヶ月連続でゲー音部の活動に参加させてもらって気づいたことがある。定期的に人前で弾く経験ってすごく「緊張症」には効くんだな、ということだ。おかげで主催させてもらった回には特にあがりすぎてめためたになる曲もなく、たくさんの曲を思い出して弾くことができた。
 子育てと仕事以外の時間はだいたい音楽のことを考えているものだから、ゲー音部への参加についてもバンドの活動をサボっているみたいで気が引けていた。でも、ライブをやるように一所懸命練習するのでなくても、またCDを作るように一所懸命アレンジを練るのでもなく、ただ「楽に弾く」ということが、結局は演奏の幅を広げたり、自信につながったりするのだと今は思っている。

 じゃあ、毎月のようにゲー音部に参加させてもらってじゃんじゃん弾いたらいいじゃないか、ということになるんだけど、そういうわけにはいかないのだ。僕の家では何よりも娘ファーストと固く決まっているもんだから、1ヶ月に1回も土日に休みをもらっていたら確実に暴動が起こる。家で練習しているだけで怒られるんだから。
 
 そんなわけで、「楽に弾く」「人に観てもらう」の両立を考えて作ったのが以下の動画である。


わざわざ大きな画面で観たいという人は以下youtubeのサイトへお願いします。 
https://www.youtube.com/watch?v=GbUXsx7Nk18

 さて、この妙な動画を作った顛末を簡単に紹介したい。

 1 娘が寝静まったら速攻でパソコンを開き、ベースとドラムのトラックを作る。
 2 てまりを連れて自宅の3F(楽器が置いてある部屋)へ。
 3 二人で合わせてバーっと弾きながら映像も撮る。
 4 娘がムクッと起きて僕がいないことに気づき、怒鳴り声が聞こえたらすぐ2Fの寝室へ。寝かしつける。
 以下、3と4の繰り返し
 
 という感じである。
 これがもう、我が娘にはテレパシーでもあるんではないかと思うくらいに、寝ていても僕がいないのを察知する。こういう状況でやっていると、連続で1時間とかはどうやったってリテイクできない。相当うまくいっても3〜40分くらいである。
 そして、当たり前のことだけれど、同時に録音しているもんだから、二人のうちどちらかが間違えたらボツ…
 しかも、僕は録音が始まってだいたい2〜3時間くらいすると調子が乗ってくるけれど、てまりは同じ曲を何度もそんなにやってられるか!もういいよ!というタイプ。
 こんな状況だったらもう、ちゃんとした演奏を聞かせたいとか、そういうのがシステムとして無理。この中で精一杯やるだけ、となる。でも、今ぼくはこれをやるのが上達につながると信じている。だから何度かこの形でやっていこうと思っている。どうかお付き合い下さい…
 
 動画はとにかく弾いているところを通しで撮って、あまりにも急いでいるもんだからロクに三脚の位置も考えないでやったら、顔が映っていて、こりゃまずい…とポポロンとアフロディテを貼った。そして、座ってただ弾いているだけで殺風景なので、海外の動画作りフォーラムを少し回って、著作権フリーのインドっぽい映像を無秩序に入れて作った。昔のプログレのライブビデオの、よく分からないところで意味ありげな(おそらく何の意味もない)映像が差し込まれるのが好きなので、そういう感じにしよう、と。

 で、選曲について。
 なぜこんなMSXでしか出ていないマイナーゲームの、しかも5面をやるのか。それは、いい曲だから。昔から大好きな曲なんです。(せっかくやるのだから、あんまり人が演っていない曲を、と思ったのもある。)
 このゲーム、あんまり操作性や爽快感も無いし、当時友達の家にあってやらせてもらっていて、そんなに素晴らしいゲームとも思えなかった。でも、この曲をはじめものすごく良い曲が多い。世界各地の遺跡を巡って行って、最終ステージがこのインダス文明のモヘンジョ=ダロのステージ。
 しかも、ラスボスを倒して主人公たちがウシャスの秘宝を手に入れると、エンディングではいきなり核爆発が起こって主人公たちも巻き込まれ、古代人が核戦争を起こさないように封印していたことが分かる…というあまりにもひどいストーリー。そして、ゲーム本編で結末に対して「そんなアホな」とつっこんでいるのである。…なんか、たけしの挑戦状のコレを思い出すよね。




 さてさて、この動画の試みは一度で終わったら全然意味がないので、もう次の曲は決めていて、近々収録するつもりです。次はまた、誰にも期待されてない曲になると思います。ヒントは「歩いてると季節が変わるRPG」だよー。(分かるかそんなの)


 web拍手のお返事。(いつも遅くてごめんなさい。)
 「以前 死んでしまうとはなにごとかを購入しました!また欲しいのですが、購入できませんか??(>_<)
(追記)ちょっと前にCDほしいといったものですが、イースIiのオープニングのやつと妖怪道中記のがめちゃききたいです」
 
<まだ覚えていてくださって本当にありがたいです。あの頃、自分たちなりに新しいことをやろうと思っていて、それを手にとってくださっていた方がいたのは本当に嬉しいことです。ですが…本当に申し訳ないのですが、あの頃の曲というのはもうデータも残っていませんで、僕の手元にもCDRしかないのです。それをコピーしようにも、ほぼ楽器初心者がもがいている様子を思い出すと頭が溶けそうになるので、あくまでも「あの時だけのもの」と思っていただきたいのです…。ただ、当時の曲はライブとかで今後もやっていこうと思っているので、そこでいつか聴いていただけたらと…。ホントにすみません。

 「復活?されたのですね!!以前のパラメキア帝国のサイトはブックマークにしており、良くチェックしていました。1st,2ndも購入しました。(もう10年以上も前か・・・)出来れば、1980年初頭ゲームをプレイしている錯覚に陥るような効果音も含めた”メドレー”なんかをやってもらえるとうれしいです。(つーか、またアルバムを即買いします。)
応援しています、頑張ってください。」

<どうもありがとうございます。ベースをやってくれていた人が音信不通で、ドラマーもいなくなってしまったので、堂々と復活とは言えないのですが、細々とでもやって頑張っていこうと思っています。
 効果音はゲームの音楽と一緒になって作品の一部とも言える存在感がありますよね。ただ、ドラクエやマザーなどのCDに入っているゲームをやっている風の「効果音含む実況音声」みたいなのって、自分の意図しないところで効果音が鳴るわけですから、聴く人によっては「ここで聞こえないでほしいな」というのもある気がします。ですから、アレンジに入れるのは難しいですが、「ここぞ!」というところでは入れていこうと思います。怒2のスタート直後の「よし!いくぞ!」とかも、そうですね。
 でも、前にファミコン版北斗の拳の、敵が破裂するときの、なんていうんですか「くもーくもーくもーくもー」みたいな声。あれをボブにギターで再現してもらおうとしたら、全然似てないんですよ。ああいう場合はもう潔くファミコンから録音するしかないかもしれません。

 「以前金沢に住んでいたころに、「しんでしまうとはなにごとか」と「ふっかつのじゅもんがちがいます」の2種類のアルバムの購入をさせていただいた者ですが。。。おかえりなさいませ!コミケには行けませんが通販などできるなら、また購入させていただきたいです。」
 
<以前はコミケにCDを出品すると同時に、バンドのサイトで通販をしていて、メールで住所を送ってもらって、郵便為替と引き換えにCDを送ったり…とかやっていたものでした。また通販の方法とかももう少し考えようと思っています。(もしいま関西にお住まいであれば、ゲーム探偵団に置かせていただいているので、お店でも手に入ると思います。)
 コミケもファミコンの曲とかをやっている人はほとんどいなくなりましたし、社会人になってみるとお盆や年末に時間をあけるのもきつい人が多いのではないかと思いました。せっかく作ったCDを聴いていただけるのはとても嬉しいので、方法を考えないと…。
 

2017年1月2日月曜日

2016年に出会った素晴らしいCDを振り返る

 あけましておめでとうございます。旧年はお世話になりました。ライブも一回できたり、少しずつですが次のCDに向けて編曲も練ることができたりで楽しい一年になりました。
 パラメキア帝国の次の活動としては、やっぱりCD作りということになると思います。基本的にゴロゴロ寝っ転がったり暇に過ごしたりするのは嫌いで、何かやりたいとい思っていつも動いているのですが、編曲についてはかなり遅いです…。

 ではこうやって文章を書いているのは時間の使い方としてどうなんだという話はあるのですが、まあブログに関しては新しく買ったCDを聴きながらとかでもできるのと、その時の考えを整理しておくのもいいかなと思っているので、やろうと思います。
 ライブの時にうちのバンドの結成時から付き合いのあるleSYNさんに、けっこうサイトの更新はチェックしてますよと言ってもらったのもあるし、あとはすごく久しぶりにweb拍手の管理ページを見たらけっこう拍手が入っていて、「これはちゃんと働けということか!」と思ったのです。
 いや12月も実際、新しく取り掛かった曲のアレンジをイントロから間奏前まで作ったんですよ。でも、ブログも更新しないしツイッターも時々しかつぶやかないとサボってるのと違いが分からないですよね。そういうわけで、書きます。キーボード打ってる暇あるなら1小節でも進めんかいという人すみません。

 で、今回のブログの内容は、2016年に買ったCDの中から印象深いものをいくつかピックアップして、しつこくなくサラーリと紹介したいということです。
 俺、こんなの聴いちゃってるんだぜ、すごいでしょ。ちょっと紹介しとくけど君にはまだ難しいかもね…とかじゃないです。僕は基本的にノリが良くてわかりやすい曲が好きなので。
 だから、ああこれ俺も聴いてたーとか、そういえばこのアルバムも2016年だっけ、とか思ってもらえればいいと思います。もしまだ聴いていないのがあったりしたら、ゲーム音楽とかロック好きにはぜひ手に取ってみてね。中には今年出たものではないアルバムもありますが、知るのが遅くて今年になってから僕が聴いた、ということです。どれも最後におすすめ曲を載せておくので、興味のある人はyoutubeとかで聴いて、よさげだったらアルバムを手に取ってみてね。(あと、順番は特に関係ないです。)

 では1枚目。

 インスト部門 Headbangers Symphony / Wolf Hoffmann

 怖いおっさんの顔ジャケット。ブラックメタルとかとは別で、なんか怒り出したら怖そうな顔じゃないですか?(映画『セッション』の鬼教師に似てるから、というのもある。)
 ドイツの超老舗メタルバンドAcceptのギタリストの、クラシック名曲アレンジプロジェクトの新作。実はこの人、同じコンセプトでアルバムを1997年に出している。それが周りでは(メタルファンでさえも)誰も騒いでいなかったんだけど、僕は超名盤だと信じていた。その新譜が20年ぶりに出たのである。
 ふつうメタル系のギタリストがインストソロアルバムを出して、しかもクラシック音楽のアレンジなんて言ったら超絶技巧の見せ所と相場は決まっているのに、この人は全くそれにこだわっていない。youtubeとかでたとえば「幻想即興曲ギターで弾いたぞ!」みたいなのがあったとしするでしょ。(まあ、あるか分からないが)それはそれで魂込めて一所懸命に弾いているし良いと思うんだけど、この人がやりたいのは、そういうのじゃない。
 Wolf Hoffmannの場合は、「クラシックってメロディかっこいいよね!でも、長くて小難しいの嫌じゃん?」みたいなノリが全編にわたっているのである。この人はバリバリ速弾きするよりも、メロディの歌わせ方にステータスを全部割り振っている感じだ。
 特にこの新譜では音もアレンジもパワーアップして、本物のオーケストラと共演していたりもする。それと、一作目で「エリーゼのためにブルースバージョン」というアホみたいな(褒め言葉)曲があったんだけど、今回はそれを「白鳥の湖」でやっている。絶対わざとだろこの選曲。これもアホすぎてたまらなく良い。ブラックモアズナイトでリッチーが若い嫁さんにデレデレしてやった(褒め言葉)ダンスバージョン白鳥の湖の次元を超えていると思う。
 実はパラメキア帝国も別に技術にこだわりたい気持ちは始めた時から無くて、ゲーム音楽の素晴らしいメロディを歌わせることに主眼を置いているので、このCDもまた長いことアレンジや弾き方のお手本になるなぁと思っている。

 おすすめ曲:Night On Bald Mountain (よりによってあなたが『はげ山の一夜』って、この選曲どうなんだろう)


 2枚目。
 女性ボーカル部門 This Is Acting / Sia

 USチャートで1位とか、グラミー賞を取るCDが「さあ牛だ」に挙がっていてもいいじゃないですか。
 ビヨンセとかリアーナとかブリトニーに曲を提供している人ですね。ある時からなぜか顔を隠してパフォーマンスしているシンガーソングライター。本人は髪で顔がすっぽり覆われていて、マイクの前から一歩も動かない代わりにマディ・ジーグラーという小さな女の子が凄まじいダンスをする。前作の『1000 Forms Of Fear』ですっかり僕も「カッコイイ!」と好きになったんだけど、今回のアルバムでは日本の空手少女がPVに起用されたりしていて、それもまた素晴らしい。
 彼女の音楽はファンクとヒップホップ、ソウルが下敷きになっているんだろうけど、僕は歌のメロディと彼女の絞り出すような声が好きなのだ。時にかすれたり裏返ったりする声がたまらなく魅力的で、全く顔が見えないのに歌には強く表情が感じられて、心に響いてくる。音楽を聴く時には、だいたい何か自分に活かせるものを探すものだと思うけど、この人の音楽を聴いている時はただ耳に届く歌に埋もれている感じ。
 夜にばかり聴いていたせいか、自分が中学生のころ夜にラジオを聞き始めて、ただそこから流れてくる音楽をジャンルも楽器も知らずに「ああ、いいな」と思って浸っていたのに近いように思う。

 おすすめ曲:Alive


 3枚目。
 

メロディックデスメタル部門 Under the Red Cloud / Amorphis

 これは正確には2015年のアルバムなんだけど、出てたの知らなかったのです。
 Amorphisはもちろん初期のメロデス路線から大好きで、1000 lakesを輸入盤で大喜びで買って、これはすげーバンドだ!そのうちメロデスが世界の音楽を席巻するに違いない!みたいな青春時代を過ごしました。このバンドの往年の名曲にMy kanteleってのがあって、最近ツイッターでカンテレ(フィンランドの古い民族楽器)の名前をちょくちょく見るようになった。これは市民権を得てきたのかと思ったら、アニメで出てきたらしい。とにかくそのアニメのファンもアモルフィスのMy kanteleを聴いた方がいい。「その楽器は悲しみから作られ、終わりの無い苦難からの指板と苦労の種から集められた弦は…」とかそういう歌詞だからきっとアニメが好きな人は共感するだろう。
 そんなメロデスバンドが急にデスボイスを捨ててファンに総スカンを食って、その後またデスに戻ってきて…という流れを20年近く追ってきた。僕自身はバンドの路線変更ってすごく嬉しくてどのバンドでも新しいことに挑戦するのには付き合って楽しんで聴く派である。
 だから、ホントは前のデスボイス全然なしのアモルフィスも好きなんだけど、デスメタル帰還以降はコンスタントに良いアルバムを出している。特に最近は「歌って踊れて民族音楽も取り入れる怪しげなデスメタル」という独自路線を極めつつあると思う。駄盤は無いバンドだけど、その中でも今回は2006年のEclipseに次ぐ出来じゃないかな。ギターのリフもすごく練ってあるし、コーラスは一緒に歌えそうだし、キャリアの長いバンドに途中参入するのに抵抗がある人もここから入って入門盤にしていいと思う。
 ただ、ボーカルのトミ・ヨーツセンはクリーンもデスも上手なイケメンだったのに、最近どんどん筋肉が増えてゴツくなり、ヒゲもじゃもじゃのムサいおっさんになったのが残念。
 おすすめ曲:Death of a king


4&5枚目。

 スウェディッシュメロディックデスメタル部門 Battles / in flames と Atoma / Dark Tranquillity
 
 もうほとんど部門によるジャンル分けが機能していない状態。しかも1枚に絞れず2枚。まあ、アモルフィスはフィンランドだから。
 今回のインフレイムスはアメリカン路線の集大成ともいうべき出来。超キャッチー。僕は個人的に湘南乃風のようにポップだと思う。誇張だけど。でも、コーラスで始まってサビも同じで、さあみんな一緒に歌おうぜ!みたいな『The Truth』とか聴いていると、頭上でタオル回すオーディエンスが目に見えるようである。(僕だけか)
 今回のインフレイムスはそういう意味で、シリアスな慟哭を聴きたいメロデスファンには完全に不向きだけど、ヘヴィかつメロディックでフックに富んでいて、やりたいことを極めている潔さがある。Linkin Parkからヒップホップ成分を取り除いて、ヨーロッパ的な翳りをふりかけたキャッチーなメタルを聴きたい!という人はぜひ聴いたらいい。
 
 さて、対するダークトランキュリティはというと、もう笑っちゃうくらいに正統派メロデスで、スウェーデン度100。
 バンド結成期からのギタリストが一人抜けてしまったので心配していたんだけど、これは杞憂だったようだ。もしかして名盤『Damage Done』以来の出来ではないだろうか。来てほしいところに突進するような2ビートが来て、おっ!ここで来るかというところで変拍子。ギターリフはソリッドでカッコイイし、キーボードが必要最低限の音で曲の泣きのメロディを奏でて雰囲気を持っていく。ボーカルのミカエル・スタンネは相変わらずの美デスボイス。そしてイケメン。若いころは絶対髪の毛なくなりそうと思ってたら、なくならない。
 僕が高校〜大学生のころは、まさにメロデスが花盛りだった。こういう風にメロデスバンドの新作が同じくらいの時期に出て、「どっちがいい」とか言って友達と語り合ったものだ。では、今回の二枚、どっちが良いかということになると、曲の完成度・洗練度で言ったら間違いなくIn Flamesだろう。だけど、一曲一曲に絵が浮かんでくるところと、CDを一枚聴いた後の放り出されたような遣る瀬なさで言ったらDark Tranquillity。よって、どちらもバンドのキャリアの中で代表作になりそうな素晴らしい作品だが、僕はDark Tranquillityが好きだ。 

 おすすめ曲:in flamesはThe End、Dark TranquillityはForce Of Hand

 
7枚目。

 バイキングメタル部門 Two Decades Of Greatest Sword Hits / Ensiferum
 
 あ、もうメタルはいいですか?じゃあ簡単に。
 超速疾走勇猛果敢民謡メロディ。一曲の中にこのバンドのいいところが全部入ったような曲が、1曲目から14曲目まで続く。くどい。非常にくどい。それがあなたのいいところ。
 おすすめ曲:Lai Lai Hei


8枚目。

 ゲームミュージック部門 サガ スカーレット グレイス オリジナル・サウンドトラック / 伊藤賢治

 これっきゃないでしょう。なお、ゲームは僕はプレイしていません。本当はやったらもっと素晴らしいんだろうけど…。ゲームをやる時間はないので仕方がないが、いつかはやりたいと思っている。そして、出たばっかりのCDなのでまだそれほど聴き込めていないのだが、もうとにかくゲームミュージック部門の1番はこれ!本当に素晴らしい。
 今回はオーケストラも生で、エレキギターやバイオリンも生楽器で録音されている。ロマサガのような豪華絢爛な世界が綺麗な音で紡がれていくのだ。
 そして、どの曲もいいメロディ目白押し。二枚組のサントラだけど、飛ばすような曲は一曲もない。イトケンはバトル曲!と思っている人もいるかもしれないが、このCDなら全曲楽しめるに違いない。僕らが子どもの頃から愛してきた「ゲームミュージック」という音楽ジャンルの正当な進化がここにある。まだ聴いていない人でこのサイトに来ている人は全員買え。

 それでもイトケンはバトル曲だと言い張るあなた、このCDはバトル曲めちゃくちゃ多いよ。しかも、どれもついでに作ったような感じがしない。ミンストレルソングも良かったけど、遥かに超えていると思う。少し紹介しよう。

 「花びらを踏みしめて」はイトケンの乙女センスが爆発したバトル。アセルスのラストバトルがノーマルになったような超胸キュン曲。
 「翔遼乱承!」はサガフロ的なイメージもあるけど、正統派ヒーロー的な感じのバトル。そして術戦車的なメロディの音。燃える!
 「冥魔・堕されしものども」はTHE中ボス!って感じ。イントロはサルーインぽい。このギター僕に弾かせてほしい。
 「精霊・そこに在る力」はオーケストラの荘厳かつノリノリなバトル曲。イントロ超燃える。映画的なゲーム音楽か、ゲーム的なゲーム音楽かという二択ではなくて、映画にも使えるゲーム的ゲーム音楽って感じ。すげー。
 「星神・守護者たち」これはもう、オールドファンのための曲でしょう。やばい。イトケン大人げない!どこをどう切ってもサガサガしいサガのバトル曲。この曲だけなぜか6分近く収録されているが、聴き終わった瞬間にもう一回聴きたくなる。あのメロディで、あのリズム。だけど新曲。
 「破壊の響き ~ 大冥魔」は今回新機軸かも。デジタル風味の激しい曲。主人公たちのピンチ感がありつつもノリノリ。メロディが泣く。ギターがメタル的。この絶体絶命の中で立ち上がって歯をくいしばる感じがイトケンだよなー。
 「武術を守護する者 ~ 星神マリガン」は、すごいボス曲。オーケストラの迫力満点で、ゾーマがあと二段くらい変身した感じ。オーケストラコンサートでこれを聴いたら、そのまま動かず席に座っていられる人いないでしょう。
 …もうさすがに長いからやめるけど、ここまででディスク1ね。ディスク2にもすごいバトル曲満載ですよ。そしておしゃれイトケンもあり。しかもラスボスすごい。まあ控えめに言って、イトケンの最高傑作だろうね。
 
 おすすめ曲:これだけバトル曲すごいアルバムだけど、おすすめはオープニングテーマっぽい「緋色の邪星」とエンディングのボーカル曲「胸に刻んで」。


 9枚目。
 ライブ盤部門 Before the dawn / Kate Bush

 1979年のライブ盤を、僕は自室で毎日のように観てその度にポロポロ涙を流していた時期があったものだった。この人が全身全霊を込めて歌っていたり、くるくるくるくると回って踊っているのを見るとなぜか胸にグッとくるのだ。そしてラストの曲が終わって、観客に向かって手を降って、操り人形の糸が切れて解き放たれたようにぴょんぴょん跳んでいるのを見るとダーっと涙腺が決壊していたのだ。なんだろう、あの頃は別に辛いことばっかりだったわけではないんだけど、ヤバかったのだろうか。
 だからこうやって他のCDと同じように並んでいても、音楽として聴くというよりも何らかの儀式に近いような気がする。この人はその頃以来ライブ自体を全くやっていなくて、実に35年ぶりに人前で公演を行ったのだ。コンサートのチケットは15分で22公演ソールドアウトになったらしいが、娘が生まれていなかったら何とかしてイギリスまで行っていたと思う。
 そのCDが発売され、家に届いてヘッドホンをつけ、一曲目のLilyを聴いたら、あの頃の自分が…とかじゃなくて、もう鳴っている音と歌声に圧倒されて何も考えられなくなった。そして2曲目のHounds of Loveを聴いたらもうAメロで涙があふれてくる。だからここで感想なんか書いていてもしょうがないし、これを聴いて感じることをこのサイトに来てくれる人に伝えてもどうしようもないと思う。みんなも、どうしようもなく好きでどんなに愛情を注いでも足りないものってあるじゃん。それと同じです。

 おすすめ曲:And dream of sheep


10枚目。
 その他ロック部門 アトム未来派No.9 / Buck-Tick

 紹介10枚目にして突然のBuck-Tick。でも年末はホントにこればかり聴いていた。
 僕はBuck-Tickを今までまったく聴いたことがなくて、バンドブームの頃も筋肉少女帯とか人間椅子しか聴いていなかった。Buck-Tickはどこかのお兄さんが自分とは違う世界を歌った音楽をやっているバンドで、ジュンスカイウォーカーズとかブルーハーツとか、とにかくそっちのハレの世界の人が聴くものだと思っていた。

 修学旅行先の京都で、清水焼の湯飲みに絵をつけるやつあるじゃないですか。僕はクラスの友達の顔を描いたんですよ。なぜかすごくムキになって、絶対似せてやる!とか思って。そしたらクラスの女子が湯のみにでかく「紅」とか書いてるの。
 で、「なにそれ?あか?」と聞いたら、「あんた何言ってるの『くれない』だよ!」ってその女子に言われた。…で、ああ、ラジオで聴いたあのエックスの曲か、と。あの暴走族みたいなバンドの曲か、とつながったのだ。
 そして、その女の子の友達が、やっぱり湯のみに「悪の華」って書いていた。それには国語の先生がつっこんでて、ボードレールだろうとか言っていた。Buck-Tickって僕にとってはそういうイメージしかなかった。今のいままで。
 それが、なぜか「アトム未来派」というアルバムタイトルに惹かれて(僕は手塚治虫ファンなので)、29年もキャリアのあるバンドの最新アルバムを何の前知識も無しに聴いてみたのだった。

 僕はパラメキア帝国を再開したときに、もう楽器を弾いて人に聴いてもらうというのは本当に特別なことで、CDプレイヤーに入れてもらうのを想像するだけで胸がときめくような気持ちになった。病気になった人が、治った後に普通の生活を送るだけですごくキラキラした気持ちになるというのはよく聞く話だけれど、誤解を恐れずに言うと同じ気持ちだと思う。
 だから30年近くも解散しないで全く同じメンバーで表現を磨いていたり、理想を追い求めている人たちには、それだけで今までとは違った感覚で、素直にすごいことだと思える。それが今までまったく聴いたこともなく興味を持つこともなかったバンドであっても、毛嫌いしていたビジュアル系(?)に属するものであっても。
 
 メタルやプログレ好きには2種類いて、ひとつはメタルに入ったのはX-JAPANからなんですよとか、LUNA SEAを聴いているうちにメタルにも興味を持って…という人。もうひとつは、ビジュアル系を毛嫌いしている人。僕は完全に後者で、何がカッコイイのか全然わからないし、カッコつけて歌っているのが気持ち悪いとさえ思っていた。ビジュアル系と言ったらKISSしか聴いていない、とネタで答えるくらいだったのだ。
 それが何で今更…とは自分でも思う。

 考えてみたら、メタルバンドの出す音は最近ジャンルとして長い行き詰まりに達していると思うのだ。オーケストラと共演しているとか、7とか8弦ギターを使って今までになかった響きのコードやリフがあったり、またはミックスやマスタリングの力で音だけでなくフレーズ自体が加工されて新しい音が生まれていたりと、要するに経済的な面で素人とは大きな壁があって、それが無いと新しい音が登場しないような気がする。腕を磨いたり、独創的な音を出すという勝負ではなくなってきている。
 そんな中で聴いたBuck-Tickというバンドは、サイバーでインダストリアルかつゴシックで、厳然たるオリジナリティをもってそこにあった。RammsteinやPain、Ram-Zetを聴く時に求めるものと、EntwineやTo die forを聴くときに求めるものが融合されてそこにあるような。つまり、もともとすごく好きなイメージで、むしろ今まで何で聴かなかったんだろう、と。
 とにかく僕がビジュアル系バンドというくくりで勝手に持っていた、皮相で空虚なイメージでは全くなかった。

 このアルバムはタイトルに「アトム」とあるけれど、同じ近未来でも手塚治虫にたとえるなら、火の鳥のディストピア感が近いと思う。僕は何しろめちゃくちゃこのアルバムを聴き込み、年末には日本武道館へライブに行ってしまった。他のアルバムを一枚も聴いたことがないのに。
 しかしライブもプロジェクションマッピングと凄まじい完成度の音響による超一流のエンターテインメントだった。ここに書くと長いから他のときにまた書くけれど。とにかくいたく感動するとともに、こんな出会いがあって本当に2016年は良い年だったと思う。

 おすすめ曲:PINOA ICCHIO -躍るアトム-


 2016年の音楽鑑賞を総括しようと思って書いたら2万字を超えてしまった。今度はもっとライトなことを短く書こうと思います。今日は昼飯がうまかったとか。

2016年11月22日火曜日

サウンドテスト0008 Fluffing Moogles 編

 11月19日、ゲー音部によるイベント「サウンドテスト0008」で、僕らのバンドFluffing Mooglesは2番目に登場したのでした。
 人前で音楽をやるというのは僕にとってはすごく特別な機会だ。たとえば僕の仕事には1パーセントも関係ないところだし、普段の生活においてさえも、ギターを取り出した瞬間に娘(束縛系:5歳)には非常に嫌がられ、向こうの部屋にいても走って来てギターのペグを回すのである。連鎖を組もうとした瞬間に2連鎖でお邪魔ぷよぷよを落とされるようなやり切れなさだ。その僕がちゃんとしたバンドメンバーを組んでお客さんの前で演奏できるというのだから、この機会を逸するわけにはいかない。
 
 ドラマーをかって出てくれたchihiroさんはとても忙しい人で、深夜になって帰ってきてなかなか子どもと一緒に遊べないと言っていた。この人なら音楽ができる時間の特別さを分かち合えると思った。メンバーとスタジオに練習に入ったのは1回、それ以外は当日の直前に1曲ずつ合わせただけだけど、chihiroさんが曲をちゃんと組み立ててきてくれたので、すごくスムーズに行ったと思う。なにしろ、曲を覚えてきてくれる上に叩き方も固めてきてくれるドラマーって僕は初めてだったもんだから、てまりと二人ですごく嬉しかったのだ。ティナのテーマはchihiroさんの気合いがすごく入っていて、お客さんからも「あの曲のドラムすごく良かったですよね」と言われた。僕に言わないで本人に言って欲しかったのでここに書いておく。それはキメ部分だけでなくて、曲全体へのイメージができていたから、どこをどういうノリでいくべきかというビジョンがあったんだと思う。
  
 僕の中では今回は脇役に徹するというテーマがあって、フロントはてまりに任せていたので、本当はMCもやりたくなかった。そうじゃないと友達のお姉さんに無理やりピアノを弾いてもらって出た高校生の学園祭みたいじゃないか。でも、ぜったい無理と言われたので仕方なくしゃべることにした。小学生のとき高橋名人が好きだった話とか、ピアノをやっていたせいで連射ができて「一郎(てまり弟)の姉ちゃんすげー」って言われた話とかすればいいのに。そうしたら毛利名人の方がイケメンなのに暑苦しい高橋名人が好きとかぶっ壊れてるよねと突っ込んだのに。

 

 僕はエレキギターを弾いているけど、パラメキア帝国ではほとんどバッキング(伴奏)というものをせず、メインメロディを弾いている。だから曲の最中で音量を上げ下げする必要が今までなかった。そして音色に関しても、オーバードライブの音ひとつだけで、クリーンのアルペジオなんかやることは無かったのだ。それが今回は両方やることになって、一番苦労したのが音量についてだった。歌を食うほどにでかい音で弾いていてはいけないし、リードになったらなったでいつも通り大きな音で弾かないといけないし…
 もうこれは別の楽器を弾いているイメージで行こう!と、まず自分の長らくのメイン楽器であったフライングVではなく、「目立たずギターを弾きたい時用」の最近買ったPRSのCustom24というギターで弾くことにした。また、エフェクターはいろいろ迷ったのだが、Marshall直結にした。迷った結果それか…と思うかもしれないけど、正直にやるのが一番だと思う。そして、ソロやリードの時だけアンプのセンドリターンにクリーンブースターを入れて、それを踏むことにした。これが劇的に音量が上がるので、アンプの方を小さくしておいて、ソロでガッと前に出ることができるようになった。これはものすごく便利である。…しかし、エフェクターそのものをふみ慣れていない僕は手で弾く以外にやることができてすごく混乱することになった。
 それに加えて、このPRSのCustom24はピックアップ(ギターのマイク部分)の切り替えがゴリゴリ回す式のスイッチになっており、とっさに変えることができない。しかも右回しでリアに、左回しでフロントになるという混乱を呼ぶシステム。これには閉口した。テキサスでブルースを弾いてるオヤジなら小指でちょいと回せるのかもしれないが、魔導師レベルの力しか持たない僕にはとても無理だった。本番でも回せなくて一曲目のソロをリアのままで弾いて高音が目立ち非常に気持ち悪かった。あと、ティナのテーマの間奏から元にもどるとき、ピックアップの切り替えがうまくいかずに、無理して回したらちゃんと弾けなかった。はらたつ。

 さて、そんな個人的なバタバタ感とはうってかわって、演奏全体を見たらけっこううまくいったのではないだろうか。それは良いメンバーに恵まれたということが一番大きいと思う。本番直前に、ろみさんが(彼のギターもPRSで)「ダブルPRSだから写真撮りましょう」と言ってきて、ああ…僕はこの人に無理して合わせてもらっただけじゃなくて、ちゃんとこのバンドで楽しんでもらえていたんだなと思ってジーンと来た。メタル者同士だけれど、たぶん二人とも今回のライブは体感メタル度5パーセントくらいだと思う。僕なんかギターもいつもと違うし、黙っていたら絶対メタルの人だと気づかれなかったと思うんだけど、どうなんだろう?なんで弾いた瞬間にメタルと思われたんだろう?
 
 1曲目、MotherのAll that I needed(was you)。この前に僕は紙芝居を朗読した。娘たちが寝たあと、真っ暗な部屋に電気スタンドをつけて、娘の絵の具を借用して描いたものである。さば夫さんがそれに合わせてMotherのタイトル曲を弾いてくれた。とっさにこういうことができるのは流石だ。僕はこのライブ中ずっとさば夫さんの横でギターを弾いていた。自分で前に出て弾こうと思っていたところにエフェクターが大量にあって(転換を早くするために他のバンドのエフェクターがステージに置いてある)、前には出られなかったんだけど、結果的には彼の横で良かったと思う。僕がバカなことを言い続けたMCの最中、ずっと笑っていてくれてすごく安心した。どんなにMCで外して客席が凍りついたとしても少しも寒くないわという気持ちになれた。ピアニストとしての技量に注目がいくけれど、やっぱり北海道から人がたくさん付いてくるのは彼の人柄あってのことだ。
 
 そんなさば夫さんのピアノが一番冴えたのは2曲目のティナのテーマだと思う。僕が作ったアレンジでは、ピアノは添え物のような感じだったし、どうやって弾くのか分からない楽器を無理やりやっているのですごく不自然だった。ピアノソロから始まるこの曲は、Fluffing Mooglesでやりたいと思ったことを一番ストレートに形にできたように思われる。そしてSugiさんが僕の作ったベースソロを弾き込んできてくれたのは嬉しかった。Sugiさんはこのバンドをやるに当たって、バンド全体の音像を俯瞰しながら音を出してくれた。スタジオ練習後に僕が音像やギターの分担などで相談した時も率直な意見をくれたのであった。さば夫さんが、ティナのテーマの中間部は雪が降っているイメージだからベースが動かない方が良いのではという意見を言っていた時も、じゃあそうやってみようかなという柔軟性。大人だ。
 MCでも言ったけれど、ティナのテーマはパラメキア帝国用にアレンジを作った後、お蔵入りになっていていつか演りたかった曲。十年前に作ったアレンジだけど、ジャンル的にはゴシックメタルを念頭に置いた感じ。リードギターとボーカルの兼ね合いも合わせて、こんなにライブでやって楽しい曲になるとは思わなかった。

 3曲目はカオスメドレー。なんでカオスかと言うと、一曲目がファイナルファンタジーのカオスの神殿で、そこからめちゃくちゃな展開が続くから。このバンドの曲決めはチャットでやったんだけど、みんな好きな曲、やってみたい曲があって、当然全部やるわけにはいかなかった。だから一人一曲ずつ全部入れてメドレーにしようと思ったのだ。一人ずつの思い出の曲がないとバンドとしてやる時に張り合いが無いもんねぇ。しかし、それぞれ全く違うジャンルの曲を普段聴いているし、通ってきたゲームも全然違う。かくして「本当にメドレーとしてつながるのか!?」という選曲になった。
 そして2曲目はろみさんリクエストのゼノギアス「飛翔」。ライブということで、原曲のオーケストラのイメージやリズムは一度おいといて、ボーカルをメインメロディに据えてノリの良いエイトビートに変えてみた。飛空挺の曲みたいな爽やかさになったと思う。
 3曲目はさば夫さんのサイバーコア(ステージ1)。このゲームには僕がPCエンジンを友達に借りたとき、シューティングの中でガンヘッドやスーパースターソルジャーよりもやり込んだ思い出がある。ゲー音部の飲み会でさば夫さんと話していたときに、「こんなゲームありましたよね」と言ったら通じて、「知ってる!?」と固く握手したのだ。僕ら意外にぜったい誰も知らねえと思って演奏したらお客さんの中に知ってて喜んでくれた人がいた。演奏ももちろん中学生の自分に届けるつもりでやるつもりでいたけれど、MCでしゃべったら反応があって、その人のために心をこめて弾こうと思った。この先、僕ら意外に誰も演らないんじゃないか…
 4曲目、Sugiさんリクエストのワギャンランド2ラスボス。これが高速変拍子を含む難しい曲であった。Sugiさんはアストゥーリアス好きなので本当はもっとプログレッシブにアレンジしたかったけど、練習時間とかメドレーの尺を考えたら無理であった。残念…。でも、この曲ではてまりのボーカルが無理やり乗ってくるところがとても良かったと思う。これをバンド演奏ソプラノボーカルありでやるのも絶対僕らだけだと思う。
 そして5曲目…chihiroさん推薦のソウルブレイダーエンディング「恋人のいない夜」。なんでこれで締めなんだ!というメチャクチャさ加減。作曲者タケカワユキヒデがCDで歌っちゃった曲である。ゲームソングによくある「ゲームと全然関係ない歌詞」なのだ。こういうのの困るところは特別にボーカルバージョンで収録!みたいなこと言っちゃってて、CD買った人がインスト聞きたいのにそれは入っていない…という。この曲をてまりが一所懸命練習してたのは笑った。

 メドレーが終わって最後の曲はテイルズオブファンタジアの「夢は終わらない」。これは僕がどうしてもやりたかった曲。これを聴いていると正体不明の胸に迫ってくる感じがあって、ああ、切ないってこういうことなんだなと思うのです。だからバッキングはものすごく凝って作った。ダンスビートな曲なので、Extremeみたいにノリの良いバッキングにしたかった。…が、この曲だけボーカルの声が普通の高さなので、マイクの音量が変わらないと歌がまったく聞こえない。リハでは、この曲だけボーカルを大きくしてと伝えたけれど、無理でした…。このバンドのボーカルは基本ソプラノ歌いなので、歪ませたギターでゴリゴリやってもそれを飛び越えていく音域なわけだけれど、これだけ普通の女の子ロックバンド的な音像が必要、ということだ。これはリハーサルをちゃんとやったり、ギターもちゃんと聞こえつつボーカルを邪魔しない弾き方にするアレンジを考えたり、改良の余地がたくさんあると思う。またいつかしっかりボーカルが聞こえる状態でやりたい。

 ボーカルに関しては、このバンドを考えた時から「ちゃんと歪んだギターとマッチするだろうか」という懸念があった。たとえばNightwishとかTherionみたいにソプラノボーカルとメタルバンドというのは存在するんだけれど、もちろん音響面では長いバンドの歴史の中で磨いてきたものだし、アレンジからしっかり練ってあるので、そういうことが僕らにできるのだろうか、と。ギターを下げればいいじゃんと思うかもしれないけれど、メタルリスナーにだけ分かる言い方をすると、ソプラノ部分に関してはNightwish、地声で歌う部分に関してはWithin Temptationみたいにやりたかったのさ。無理なことは無いと思うのだ。今後の改良次第で。
 そんな風にこだわるには理由があって、てまりのボーカルってただ高くて大きい音が出るとか、ゲームミュージック界隈で同じことをしている人がいないとかそういうことではなく、表現として魅力的だと思うのだ。僕は女性ボーカルの曲がすごく好きで、はっきり言ってシンガーについては「こうあってほしい」という理想がすごく高い。けれど、初めて同じステージを踏んだ仙台のライブハウスで、ああ、これは自分がギターでもがくのと同じくらいに、なんとかしてこの声を人に聴いてもらいたいなと思った。
 練習が足りない時の彼女の歌のひどさはそりゃーもう頭が痛くなるくらいヤバい。だけど僕みたいに夜起きて部屋で練習するわけにもいかないから、僕が娘ふたりを見ている間にCDを流せるカラオケボックスに行って、一所懸命練習していた。練習音源を聞かせてもらったけれど、今回あんまり聞こえなかったと思われる「夢は終わらない」もすごく良かった。

 総じて言うと確かに自分のギター演奏上の失敗や、アレンジを含めてもっとよくできたというところはいっぱいあったけれど、終わった瞬間に後悔よりも「いい音楽ができた」と満足できるバンド演奏は、僕史上たぶん初めてだと思う。それくらい今回は楽しいライブだったし、次への自信につながるいい体験ができた。
 Twitter上ではあんまり僕らの演奏に関する意見や感想って見なくて、メンバーからの感想だけな気がするんだけど、本番が終わって楽屋に引き上げたまさにそのタイミングで、このライブの主催をして今回燃え尽きるんじゃ無いかというくらい頑張っていたしんざきさんに「いやー、本当に素晴らしかった。ありがとうございます」と褒めてもらった。実感のこもった表情で言われて、僕がそう思いたいだけかもしれないけど、社交辞令じゃなく見えて…こんなに頑張っている人に言われるというのは、これは誇って良いことだと思う。
 そんなこんなで、いい気分になっていた僕は打ち上げ会場でFluffing Mooglesのメンバーに向かって、烏龍茶しか飲んでいないシラフの頭で「こんなこと言って変かもしれないけど、僕らって、けっこうカッコよかったんじゃないかな」って言ってしまった。
 
 唐揚げを食べながら、回ってきた会場アンケートに目を通していたら、こんなのが言葉があった。無断でこんなところに書いてしまってすみません。
「10年ぶりくらいに死神博士さんとてまりさんの音楽にふれて、なつかしくもうれしい気持ちになりました。今日は楽しかったです」
 ああ、本当にやってよかった。

サウンドテスト0008に出てきたぞ。

 ライブ後がっつり風邪をひいてしまって、本当にテイルズオブファンタジアのタイトル画面のようなしわしわな声になってしまいました…
 サウンドテスト0008にご来場の皆さん、当日はどうもありがとうございました。そしてゲー音部の方々、最高の1日になりました。ご一緒させていただいて本当によかったです。

 1日で9バンド、計5時間半のライブ。これはゲームミュージックにおけるラウドパークか!?みたいなノリで、演奏時間もさることながら、バラエティ豊かなサウンドがみっしり詰まった濃密なイベントになったと思います。


 1バンド目はPolygon Wings。EWIやフュージョンが好きな人が集まってカッコイイことやろう!というバンドで、まとまった音と確かなテクニックでお客さんのノリも1バンド目から最高潮に。Moon over the Castleの最中に舞台袖で司会のAKさんがすごく実感のこもった表情で「カッコイイ……!」って言っていましたが、ゲー音部の中にもお客さん側で盛り上がりたい人がたくさんいたことと思います。(当日は満席となったため、ゲー音部員は壁際で5時間立ちっぱなし、あるいはドアの外にいざるを得なかったのであった…)俺たちが一番好きな音はコレで、一番好きな音楽はコレだ!という愛情がストレートに出ていて、実はこの日一番男らしさのあふれるバンドだったと思います。

 そして2バンド目は僕らFluffing Moogles。あとで書くので飛ばします。実はこの日、イベント主催のしんざきさんには後ろ方のすごく良い番手をもらっていたのですが、この順番に変えていただきました。夫婦で参加だったため、娘たちを北海道から来てもらったおじいちゃん&おばあちゃんに預けてきたのです。早く帰らないと2歳&5歳の娘ふたりが「ちから99」「ちせい1」でキャプテンをなぐり殺す反乱軍と化すのでした。この日僕らの出番が終わった瞬間、てまりはメンバーや共演者との挨拶もそこそこに会場を出て自宅へダッシュしました。(出してもらったのに失礼なことをして申し訳ないと言ってました)

 3バンド目、ベスの極み翁。1、2バンド目の大音量とうってかわってベースのみでゲーム音楽を演奏するというバンドでした。「今日はなんでもアリなんだ」という流れを作ってくれたのはこの人たち。ただ腕組んで突っ立っている人がいるとか、指揮者がいるとか、その指揮者を誰も見ていないとか、見た目でのインパクトも合わせて勝負していたし、お客さんからは笑い声がたえず、がっちり心をキャッチしていたと思います。ファミコン版ドラえもんの魔境編後半の曲は個人的に大好きな曲で、これを聴いていたらネタ的な側面ばかり目立ってしまうけれど、表現したい音楽があるんだなーいいなーと思いました。…しかしそれに続いてラストに演奏されたのは1942。みんな思ったことだろうけどあえて言わせてもらうよ。なんでベースだけでゲーム音楽やっといて、ベースが無くてもいい曲をやるんだよ!

 4バンド目、レトロゲーム弾き語り。僕はブルーハーツと完全に無縁な生き方をしてきたので曲は知らなかったけれど、声を聴いた瞬間この人甲本ヒロトに声似てるなーと思った。曲が終わった後にブルーハーツの曲の翻案と聞いて納得した次第でした。実はこの日、9バンドあった中で僕が一番いいなと思ったのは次の弾き語りバージョン「ボンバーキング」。間奏含めてアレンジもとっても良かったし、ギターとボーカルのサウンドもすごく雰囲気があった。ジャンルは全然違うんだけど、AnathemaのDreaming Lightみたいなイメージ。ギター1本持って勝負しに来た彼を僕は笑う気になれなかったけど、水を飲んだりMCでテンパったりしている時にお客さんから笑いが起こっていた。(ここら辺は僕が他の人とズレているところなんだろうけど)。第二弾・三弾がこれからあるとしたら、僕個人の感想としてはキャラを生かすのではなくて、本気で演奏して本気で吠える路線でいってほしいな。

 5バンド目、Enpanadillas。ゲー音部の民族音楽チームで、楽器もケーナ、サンポーニャ、二胡などバラエティ豊かなユニットでした。この日の主催はしんざきさんで、僕が今まで出たどのライブイベントよりも細かい部分がかっちりと決まっていて、出る側としては至れり尽くせりすぎてびっくりだったのですが、こういうことができるのって、何よりもしんざきさんが自分のバンドにかける情熱があってこそだなぁと思いました。だから、こんなに多方面に気を遣って、倒れたりするんじゃないだろうか…とか、当日演奏だけするつもりでノコノコ行くのは申し訳ないとも思っていたのですが、Enpanadillasの音を聴いたら納得。この音を出したいという思いに支えられた上での八面六臂の活躍だなぁと思われました。クロノアのBaladium's driveって、ものすごくいい場面で流れる曲なんですよ。死を乗り越えて、少年が勇気を持って立ち向かう曲です。だから太鼓の達人でやるのってどうなの…と思ってしまうくらいなのですが、この曲を本物の楽器で魂を込めて演奏しているのが聴けてよかった。彩りを添えていた…というよりもはやメインといっても良いようなメイジソさんのパーカッション。この人の1音1音をすごく大切に鳴らしている感覚は、やっぱり今までの演奏歴から来るのだろうか。音楽って、ここしか無いというタイミングでこれしかないという音を響かせることの積み重ねだと思う。僕はギタリストだけど見ていて本当に見習いたいと思った。

 6バンド目、TAKEKEN with Friends。Fluffing Mooglesでキーボードを弾いてくれたさば夫さんがここでは華麗なジャズピアニストに変身…というか、こっちが本来の姿であってギターの音がでかすぎたりMCでずっとバカなことを言っているところでむしろ我慢してたのかもしれないけど。演奏は熟練の域に達していて、ゲーム音楽をひとつの手段としてジャズの世界観に落とし込むという技をやってのけていました。これだけの音を重ねておきながら心地よさを感じさせるのは、1分ギターを弾いただけでクドいとかうるさい、いつ歌始まるの?と言われてしまうHR/HMとは対極にある世界だ…。セッションではリーダーのけんたろさんが、自分が前に出るよりもメンバーをすごく大事にしていることが伝わってきていいなと思いました。え?僕はバンドやるときは自分のことしか考えていませんよそりゃ。

 7バンド目、スヌーピーズ。キーボードの音がもうセガっぽいというか、メガドラっぽいという感じがしました。ギターやドラムが入っていてピアニカがメインというのも初めて見ましたがこのバンドのサウンドを特別なものにしており、リハではなかなか音が前に出てこなかったけれど、本番はバッチリでしたね。フロントのコブさんと打ち上げで隣になったんですが、その日の出来をすごく気にしていて、そんなこと全然ないのに…と思いました。とても良い演奏だったし、バンドのコンセプトもはっきりしていて個性の強い9ユニットの中でも存在感があったと思います。

 8バンド目、札幌ゲー音部。さば夫さん率いるいずれも演奏の上手なメンバーの揃ったバンドでした。イトケンメドレーはベタな選曲ではなく、サガフロンティアのバトル#4や聖剣伝説のバトル2をやっていました。カッコよかった!バトル#4のイントロってすごくその場の雰囲気を持っていくのでカッチリ演奏しないと難しいと思いますが、その辺はビシッと合っていて、このクオリティならわざわざ東京まで来て演奏してもおかしくないよなぁと思うのと、札幌ゲー音部のチームワークの良さを感じました。ドラクエ4のダンジョンメドレーで効果音に気持ちの悪い音が入っていて、最高にカッコ良かったです。ドラクエのダンジョンって、だんだんMPが尽きて行って、ものすごく心細くなったっけ…と思い出しました。

 9バンド目、ファミコンやろうぜ。この辺でお客さんも長丁場に疲れ果てているだろうと思ったら、ほとんど誰も帰る人がいない…本当にゲーム音楽を愛している人が集まった良いイベントに出させてもらいました。このバンドはリーダーの麺さんが、小学四年生のころのゲーム体験を再現するシナリオを書いていて、メンバーがセリフを言いながら曲を演奏していく形式でした。楽器も鼻笛、ピアニカ、アンデス、カリンバ、ディジリドゥ、バイオリン、セガ(テルミン)、カホン、スーファミ…など(これで全部?)というくらいバラエティに富んでいました。お金持ちでたくさんゲームソフトを持っている友達の家にみんなが遊びに来るという設定で、そこにいる誰もの胸が苦しくなったことでしょう。あの時の友達付き合いって、「ファミコンいっぱい持ってる」がひとつの判断基準としてそこにあったと思います。僕の周りでも「あいつ嫌なやつだけどファミコンやりにあいつんち行くか」みたいな流れは確かにあった。なんかそれを思い出してしまったけれど、これは「ファミコンやろうぜ」の再現したい世界が確かにそこにあって、それがすごく観ている側にリアルに訴えかけてきたということだと思う。それより「ファミコンやろうぜ」が屈託なく明るいメンバーばかりで、ああ、こういう小学四年生でありたかったよなーという気持ちにすり替わって行ったのでした。…しかし、ひとつだけ注文させてもらうとすると、男子の家にあんなに女子がたくさん遊びに来るって、そりゃ人生の一大イベントじゃないのか!?その辺、すごくさらっとしているように思った。ファミコン好きな女子なんて僕の周りにはいなかった。せっかくファミコン好きな女の子が来ているんだから、わざとケンカして女子の目線を気にしたり、いつもの何割か増しで悪ぶっているメンバーがいたりしても良かったじゃないか!…と思って観ていたら、最後にフロントのスーファミを演奏していた人が「そういえばこのあいだ裏ゼルダをクリアしたんだけど…」と、ファミコンうまいアピールをしてきた!すばらしい!このタイミング。すごいシナリオだ!

 これ以外にも、即興演奏コーナーがあってその場リクエストの曲なんかやったりしたんだよこのイベント…。ウソみたいだろ。これで1日なんだぜ…。来なかった人本当に後悔すると思う。
 自分の出たバンドFluffing Mooglesについては別のエントリーで書き直しますのでそっちも読んでね。

2016年9月25日日曜日

久しぶりにライブします!(not パラメキア帝国)

 以前から付き合いのあるゲー音部さんで、セッションではなくライブイベントをしよう!という企画が立ち上がりました。2016年11月19日(土)に、浅草橋のBUNGAJANというライブハウスで行われます。(詳細は以下のサイトをご覧ください。)
 http://kantogeonb.blog.fc2.com/blog-entry-21.html

 この中の「Fluffing Moogles (フラッフィングモーグリズ)」というバンドで、死神博士&てまりが出演します。
 なんだパラメキア帝国はもうやめたのか、とか、イングヴェイのように「ああ、ボブかい?…あいつはクビにした。ソウルメイトが聞いてあきれるよ。奴はアスホールだ!」とかそういう展開ではありません。あんな上手にギターを弾けてなんでも僕の言うこと聞いてくれる人をバンドから追い出すわけありません。
 ゲー音部で部員が企画を持ち寄り、メンバーを部内で募って成立したバンドがライブに出る…という流れだったので、そこに乗っからせてもらったのです。
 僕は当然ですがギター、てまりは今回キーボードなしのボーカルのみを担当します。
 もう一人のギターにはゲー音部きってのHR/HMギタリストでジェミニ誘導のリーダー、ろみさん。
 ベースは関西ゲー音部、『Sound of Ciel』、ゲーム音楽バンド『恵美須町』で活躍中のSugiさん。
 ドラムはゲームレジェンドの指ドラムでもおなじみ、関東ゲー音部のchihiroさん。
 キーボードは札幌ゲー音部や伝説のゲームミュージックバンド「コロポックリ」でも活躍していた、さば夫さんが担当してくれます。
 これはたとえて言うなら、そう…ファミコンジャンプのようなオールスター感だぜー!(不吉な比喩)

 このイベントには、他にも
 ウィンドシンセをメインにしたフュージョンサウンドの「Polygon Wings」
 ベース3本でゲームサウンドを再現する画期的な試みである「ベスの極み翁」
 ゲー音部にしかわさんのソロ活動「レトロゲーム弾き語り」
 ワールドミュージック的ゲーム音楽を本格的に聴かせる「民族音楽チーム」
 凄腕プレイヤーのアドリブセッション「TAKEKEN with friends」
 謎に包まれたゲーム音楽バンド「スヌーピーズ」
 満を持して関東に乗り込む「札幌ゲー音部」、そしてこれぞゲー音部!のサウンドを奏でる「ファミコンやろうぜ」
 …と、1日で9ユニットの演奏を楽しむことができます。また、恒例のリクエストコーナーもあるようなので、僕もFFとかロマサガとか昔のイースとかリクエストされたら弾きまくるぞー!…って、ゲー音部はそういう方向性じゃないかもしれませんが。とにかく古今東西のゲームミュージックが好きな人ならきっと忘れられないイベントになることと思います。

 さて、今回僕が出るFluffing Mooglesですが、「ソプラノボーカルとゲームミュージックの出会い」ということでやってみようと思っています。もともと歌詞のあるものはロックバンド的なアレンジを、歌詞のないインスト曲はボーカルを楽器の一つとして組み込んで演奏します。インスト曲に歌詞をあてはめるのではなく、主旋律や副旋律をボカリーズで…という感じです。
 曲はいつも通りファミコンやらスーファミから選んでいますが、メンバーで話し合って決めたので、けっこう真剣にゲームミュージックのメロディの良さを楽しめる線になっています。全部僕が選んぶのだったらボコスカウォーズとか、ヴォルガード2とかやってソプラノボーカルで「8方向〜はーちほうこう〜♪」とかやったのかもしれませんが、ホント真面目な選曲です。きっと楽しんでもらえると思います。
 
 実はパラメキア帝国の活動をしている時に、いつも思っていたのは、ボーカルをあんまり生かしきれてないよなーということです。だんだんボーカルが前面に出るアレンジも考えていってはいるのですが、たとえて言うと、作る料理が決まっていないのに食材はある…みたいな感覚もあるのです。これはパラメキア帝国のように「ハードロックでギターインスト」とフォーマットが決まっている中でやるよりも、むしろ一度「ボーカルがメイン」と決めて取り組んだ方が今後に自分でやるアレンジや演奏にも生かしていけるんじゃないかと考えました。

 もともとゲームミュージックは機械が発するものですが、いわゆる昔のピコピコ音にも生の音楽や楽器への指向性は常にあったように思われます。たとえばディスクシステムの音にビブラートがかかっているのを人が聴くとき、それはコンピューターが出す均質な信号の集まりではなくて、機械が「生」を目指して軋む音に変わるのだと思うのです。
 対して、クラシック音楽の中に出てくるソプラノの歌声は、洞窟や教会に音を響かせるためのものであったにせよ、オーケストラの音の壁を乗り越えるためのものであったにせよ、人間が声帯を震わせて自然に発する音声とはかけ離れています。そして、多数の人間が響きを合わせて更に大きな音を発したり、または和音を作ったりするために、均質なものになっていったわけです。
 目的地が正反対にあるものが交差するとき、面白い表現が生まれるんじゃないかなと思って、僕はゲーム音楽バンドにソプラノボーカルが乗ることの意義を感じています。

 まあ、それは勝手に僕が思っていることです。今回は自分のバンドの活動ではありませんし、メンバーはバラバラな場所から集まっているわけだし、今回は概念がどうとかいうよりもとにかくまずは演奏を楽しもう!という雰囲気でやるのが正解だと思っています。僕もとにかく自分がニコニコして気持ちよく弾きたいと思います。各パートの弾き方などもメンバーの皆さんにお任せてしており、実際にメンバーが顔を合わせてリハーサルしてみたら、いまアレンジ案として挙げている曲の感じもまた全然違うかもしれません。イベント名の「サウンドテスト」にふさわしく、新しい人や音の出会いがあることを楽しみにしています。
 
 パラメキア帝国を結成した頃、まわりに同様のバンドがほとんど無くて、仲間を求めて地方に行ったり、ワンマンでやらざるをえなかったり…ということを思い出すと、同様のゲーム音楽をする人たちだけで対バンのイベントが開催されることを本当に嬉しく思います。そして、この日に参加した人は、ゲーム音楽を聴いて懐かしい気分に浸るだけでなくて、ゲー音部の風に触れて「俺もひとつ仲間を集めて何かやってみようかな」とか、もっと言ったら「新しい楽器を手にとって好きなようにゲーム音楽弾いてみようかな!」と思えるような素敵な1日になる気がします。ぜひお越しくださいね。

2016年3月26日土曜日

ギターをもう一本買ってみようかな。

 僕が現在メインで使っているのはGibsonのFlying Vである。メインというか、マトモに使えるエレキギターはこれしか持っていない。ギターを始めた時からこれだったし、ライブも録音も全てこれ一本でやってきた。

 昔はヤングギターなんかを見ていても、僕が好きなギタリスト達はみんな「メインはこれ一本」と決めていた。たとえば、トニーアイオミであれば、このJay Deeとか。


 愛機に対する全幅の信頼ってやっぱり憧れるじゃないですか。自分もこのくらいボロボロになるまで弾きたいと思ってギター買うよね普通。
 橘高文彦だってどんなに煌びやかな衣装を着ていたってボロボロのフライングVを弾いている。マイケルシェンカーだってライブ中ブチ切れて破壊しなければ今も「4」って書いてあるフライングVを使っていたかもしれない。
 だけどそんな伝説のギタリスト達でさえ、最近は新しいシグネチュアモデルが出たり、最新鋭の楽器に持ち替えたりしている。やっぱり昔のギターは昔の音がするものだ。ロックをやっていて聴いた瞬間に迫力不足だと感じられたら勝負にならない。また、ヴィンテージ系の音を出すバンドでさえも、メンテナンスや録音の利便性から新しい楽器を使うことも多いだろう。
 
 僕に関して言えば、当然のことながらプロではないし、昔好きだったギタリストのように「俺はこれ一本」でいいと思ってやっている。これからもメインのギターを変えるつもりはない。
 しかしここで問題が起こった。それは、今さら気づいたのだが僕の顔や風体がどう見ても「フライングVではない」ということだ!
 全然「フライング」な要素がなく、どこもかしこも「V」ではない。困った。

 誤解のないように言っておくけれど、フライングVというのは形に目が行きがちだけれど、音こそが唯一無二のものだ。同じメーカーの他のギターを使ってもフライングVならではの音は出ない。僕もフライングVの音が好きだから使っているのだ。だけど、世間一般の認知から言ったら、



こうなんだよ!

 使っているだけで、「若気の至り」イメージ抜群。実際、駅で外国人に絡まれたり、自分のバンドでない他のイベントなどに持っていくと(コレしか無いからだが)、「昔はすげー音楽やってたんすか?」「髪さかだてて?」「メイクして?」
……うるせーーー!!!
となる。


 ギターをやっていると自分のバンド以外で、たとえば余興をやってくれとか、連れ合いと弾き語りで人前に出たりとか、そういうこともある。僕は人前に出るために練習をすればどんな曲であっても絶対自分にとって足しになるし、ステージ慣れにもなるので、そういう機会は大切にしたいと思っている。だけどその度にFlying Vのパブリックイメージに悩まされるのだ。

 何年か前のこと。連れ合いの同僚が自分のバンドにギタリストを探していて、頼まれてライブに出たことがある。はっきり言って全然いい曲だと思えなかったけれど、自分がギターソロを弾くんならその部分だけでもめっちゃいい曲にしてやる!と思って、速弾きとメロディを歌わせる部分を組み合わせたソロを作って練習に臨んだ。

 その時もまず、ギターを出した瞬間にお決まりの会話が始まったのだった。そして何度も合わせて、バンマスもOKですありがとうございます本番よろしく!みたいな感じだったので、ニコニコして帰った。
 しかし、家に帰ったら急にそのバンマスからメールが来たのだ。「あの…やっぱりギターソロがイメージと違うので、考え直してもらえます?」と。
 はて、どういうところがどう気に食わなかったんだ?と思ったのだが、「メロディのある曲なんで、あんまり激しい感じのソロはちょっと…」と言うのだ。
 まあ、そういうのって音楽やっていたらいくらでもあることだけども、ひとつ疑問があった。そのバンマスが練習のとき自分が大きな声で歌うのに夢中で、弾き語りもコード見ながら必死にやってたので、あんまりソロなんて聴いていなかったように思えたのだ。
 その時は録音機材なんて持っていなかったので、ギターソロを打ち込んでメールに添付し、「では、こんな感じでどうでしょう?」と送ってみた。さも考えて変えてみたフリをしたが、練習で弾いたのをまったく変えずに送ったのだった!
 すると、案の定「すごくメロディックでいいですね!本番これでお願いします!」と返信があった…。
 主張を通すタイプのバンマスさんだったので、そこで一歩引いたようには思えない。やはり自分が歌って弾くのに夢中でギターソロなんて聴いてないのに、「フライングVは激しい音を出すはず」というイメージだけで「激しいのはちょっと…」とリテイクを要求してきたのだった…。で、あとでソロだけ改めて聴いたら「メロディックで良い」とか言うのだ。
 別に怒りも湧いてこず、こりゃーあとでネタにしよう…くらいしか思わなかった。まあ、もう大人だからね。俺も丸くなったものだゼー。そのバンマスに対して別にじじいふざけんなよ!とか全然思わなかった。もう全然。


 そういうわけで、その頃からお呼ばれしたとき用に変形じゃないギターを持っておこうと思ったのだった。
 最初に買ってみたのは同じGibsonの赤いSGだった。人間椅子の和嶋慎治も使っているし、音もFlying Vに近い。


 しかし、メインギターでもないのにそんなにお金をかけなくてもいいやと思った僕は、ヤフオクに格安で出ていたものをさっさと落札して手に入れたのだった。
 出番が近かったので仕方なかったこともあるが、これが安物買いのなんとやらで、ひどいギターだった。
 ギターのキズ自体は大して多くないんだけど、ネックとボディの間に亀裂が入っていた。そして、ヘッドも折れかかって変な接着剤でつけたような跡があったのだ。あまりにもひどいので返品しようかとも思ったのだが、よく見ていると大して弾き込まれた様子もなく、何度も落としたか、叩きつけたりしないとヘッド&ネック折れなんてことにはならないと、なんだか可哀想になってきた。
 暴力を受けた楽器を保護したつもりになったのと、まあネック折れなんてマイケルシェンカーファンにとって見れば大したことないやと思い直した。

 そこで行きつけのリペア屋さんに修理を頼んだ。これは……大変な目に遭ったギターですねと言われたけれど、接着剤がトラスロッドのところまで流れ込んでいたのをきれいに取ってもらい、調整もしなおして、一応使えるギターになった。本当にヘッドをしっかり直したら4万円ほどかかるようで、そうすると手に入れた値段を超えるので、そこまでする必要はないか、セカンドギターだし…と思った。ところが…
 そのあと、しばらく弾いていたら何もしていないのにペグ(ヘッドについている弦を巻くネジ)がポロっと落ちた!
 もうやだ!まともなギターが欲しい!

 と、思ったのが今の時点である。ボロボロSGは一応、直そうと思ってペグも新しいのを買ってあるが、次にどこが壊れるか分からない。

 今のところセカンドギター候補として考えているのは、
 ・変形じゃないギター。できればストラトシェイプで、善良なイメージを与えるもの。
  (やだあの人、メタル!?と思われないことが重要)
 ・アーティストモデルではない。
  (ギターに特定のイメージがあるとロクなことがない)
 ・赤い
 ・メタルな音が出せる。
 
 と、まあこんなところである。ギターは赤いのがカッコいい。これはもう絶対。他の色とか買う気起こらない。
 そして、メタルな音が出せないとギターを弾く意味自体がない。なぜならハードロック/ヘヴィメタルはこの世で一番優れた音楽だから!他の奴は演(や)るが、俺は殺(や)る!
 どんなジャンル、どんな場面であろうがオーバードライブしたエレキギターの音が最高だということを知らしめてやろうと思います。
 あのバンマスじじい許さねえからなこの野郎!
 

(今回は口が悪くてすみませんでした…)

2016年3月20日日曜日

心に自信を呼び覚ますPV


 あるギターの教則本だか雑誌だかで、「あなたがステージで思い通り弾けないのは何故かというと、失敗を恐れる心があるからだ!」というのを目にしたことがある。当たり前だろうが!
 昔、じゃんぷるの最悪に面白くなかったコーナーで、「暮らしの便利帳」ってあったでしょう。「うきわには空気を入れると便利ですよ」とかそういうやつ。ギター講師だかプロだか知らないけど、あなたの言っていることは、じゃんぷるに投稿している小学生と同じレベルですよーだと言いたくなる。それに、悟ったような口ぶりで人の心の持ちように問題があるようなことを言ってるのはヤダよねぇ。

 失敗を恐れてばかりいる僕が、自信を持っていこう!というときに思い出すことが二つある。ひとつは、小学校時代の出来事である。
 六年生のころ、運動会の鼓笛隊にクラスから何人か選ばれることになった。早めに声変わりして音楽の授業が大嫌いだった僕だったが、なぜか音楽の先生のはからいで小太鼓に選ばれた。そして同じく音楽がニガテな友達の小泉君はグロッケンを担当することになった。毎日放課後に残って練習をしていたのだが、合奏になると小泉君の音は非常に小さかった。はたから見ていても顔がこわばっており、子ども心に「自分は小太鼓だから音階が無くてリラックスできるけど、間違った音を叩く可能性のあるグロッケンは可哀想だな」と思っていた。
 そんな時、音楽の先生(定年間近のおばあさん先生だったが、天空の城ラピュタのドーラのような迫力があった)は、小泉君のグロッケンを「ほれ、貸してみな」と言って取り上げた。何をするのかと思ったら、みんなに合奏をさせて、力一杯にたたき出した。そこまでだったら、お手本を見せる普通の指導なのかもしれない。その先生が変わっていたのは、小学生もずっこけるような「絶妙に間違った変な音」をわざと、しかも力の限りでかい音で叩いて、しかも平然とした顔をしていたところだ。
 ちょっとぐらい音を間違えようが気にするな、音が聞こえなかったら君がいる意味が無いんだから。堂々とやれ。
 …と、そんなことを言葉を使わず小学生に納得させてしまったのだ。ベテラン先生のノウハウの一つなのかもしれないが、がぜん勇気を出して叩き始めた小泉君を見ていたら、僕らにとっては魔法のようだった。

 さて、僕がもう一つ思い出すのは、昔から大好きなボーカリストのPVである。
 バンドで担当しているのはギターなので、本当は自信満々で弾いているギタリストの映像を見た方が良いのかもしれない。でも、なぜか僕にとっては超絶ギタリストのパフォーマンスより、歌の方がずっと勇気をもらえるのである。特に、以下のような条件がそろったボーカリストが良い。

 その1 俺の(私の)表現はこれだ!もうこれしかねえ!という迫力と「つぶしの効かなさ」がある。
 その2 誰にもマネできない、または誰にもマネしたいと思われないオリジナリティがある。
 その3 内面から満ち溢れてくる何かを外に向かってものすごい勢いで発散しているせいで、ちょっとおかしなことになっている。
 その4 歌詞と同じくらいに顔で語っちゃってる。

 さあ、音楽をやっている人もやっていない人も是非観て欲しい。きっと俺は俺らしくやっていこうと思えるはずだから。
 

Cathedral - Hopkins (Witchfinder General)

メタル部門:Cathedralのボーカリスト、リー・ドリアン。
クネクネした動きで一斉を風靡し、なぜか当時のメロデス勢のボーカルも相当影響を受けていた。メタルというジャンルは、たいていボーカリストは全身全霊で声を出し、とにかく一所懸命歌ってますよというのを仕草の中でも見せていくスタイルの人が多いと思う。しかし、彼の場合は声もアクションも合わせて一つの身体表現であり、それでバンドの世界観をあますことなく表現していると言えるだろう。
 見所は、魔女狩りの曲なのにイントロから超楽しそうに登場するところ。そして、3:33くらいの、ヒザ曲げジャンプして両手を内側から回すアクション。どうやったらこんなの思いつくんだろう。




Kate Bush - Wuthering Heights

女性ボーカル部門:我らが永遠のアイドル、ケイト・ブッシュ
ライブも凄まじいアクションだしPVもどれも素晴らしいんだけど、とりあえず一番有名なコレにした。まあアクションというか振り付けなんだけど、イントロでなんか変だぞと思わせておいて、フワーと立ち上がって、なんだこれは可愛くみせたいのか変に見せたいのかどっちなんだ!?と観る人をソワソワさせ、0:25で片ヒザが上がるあたりで、「あ…やっぱり変なんだ」と決定的になるのが素晴らしい。そして、0:35で目をカッと見開いて、だんだんこっちに寄ってくるのか!?こえー!となる辺りもいいですよね。
 そして、この目と口…。そうとう自信があって、自分のこと大好きで、と思う人もいるかもしれないけど違う。当時の彼女は自分の歌声に自信がなくて、だんだんとこういう、すっとんきょうな歌い方を脱して、後のアルバムではより自然な歌声になっていくのだ。振り付けに関しても、ステージ上で自由に動けないから、全部動きを決めておくためのものだという。この全身全霊のパフォーマンスが、自信のなさをカバーするものだというところも「失敗恐れ者」にとっては心強い。
 



The Rolling Stones - Start Me Up

男性ボーカル部門:ミック・ジャガー
 疑問に思うのは、ミック・ジャガーのアクションが何の影響を受けていて、何をどうしようと思ったらこうなるのか、ということである。
 コスチュームもすごい。なんなのこれ、紫の…レオタード!?イントロからビシっとポーズをとって、それが全然カッコよくなくて、そして前に一歩二歩と進んでくるのか!?なんだその不審な動きは!?
 この人はもう、すべての動きがキレてるもんなぁ。あと、もうこの顔で正面向いた瞬間に反則みたいなもんだ…。この曲は80年代だから彼も30代後半だけど、なんて落ち着きのなさだろう。多動としか言いようが無いよね。

 これらを観ていたら、たとえば僕がライブで1音はずして、うわー何やってんだ大事な音を、みんなにきっと下手だって思われる…とか、あれだけ練習したのに…とか、目の前にお客さんがいて演奏している最中にそんなこと思っちゃってるのがいかにクダラナイことかと分かる。自分が一番好きな音楽を、一番好みの音色で、自由な音量でやっているんだから、その間くらい好きなようにやったらいいんだよね。