2014年11月12日水曜日

自転車ですっ転びました。

 何日か前にブログで「腕が折れなければCDは完成すると思う」とか書いたけど、今日は本当にその通りになるかと思った。
 自転車で出張に出た。帰りに普通の速度で走っていたら、車が左側をずいぶん塞いできて、やだなあと思いつつも少し左に寄りながらそこを通り抜けようとした。そしたら道の端っこにでっぱりがあって、それを知らずに突っ込んで行ってしまった。
 前輪がパンクしてチェーンがはずれ、後輪が浮いて自分は前に投げ出された。両手をついて膝と肘を打ち、半回転して仰向けに地面に倒れた。自転車通勤をして初めてというくらい大きな転び方をしたので、これはやばいと思った。
 同時に思ったのは、転んだときに手のひらはついたけど、指は怪我しなかったので楽器は弾けるということ。よかった…。でも、両手の平がボロボロにむけて、ちょっと焼いた牛肉みたいなビジュアルになったので、まあネックを握ると痛いです。あと、膝と肩に変な痛みがある。まいった。
 家に帰って見てみたらスーツは破けてるし、サイクルコンピュータ(速度とか出るやつ)が壊れていた。そっちの意味でもけっこう痛い。

 僕は痛みに弱い人間で、人がケガをしているのを見ていても、どんなに痛いか想像して勝手に苦しんだりするくらいである。そういうこともあって、痛みに耐えて何かを成し遂げましたとか、ガマンしましたという話には素直にすごい!と思ってしまう。
 僕が好きなのは、出典とか気にならないくらいに現実を超えたレベルの話だ。

 僕が子供の頃、父が「アメリカの大リーグはスゴイぞ」という話をしていたことがある。僕の親世代だったらそういう人は多いと思うけれど、ずーっとテレビの野球中継をつけっぱなしで、「今のがストライクかよ!」とか「そんな球を投げるから打たれるんだろうが」とか文句を言いながら観ていたものだ。そんな父親が、いかに大リーグがすごいかということを熱弁したことがあった。僕はたぶん小学生にはなっていなかったと思う。
 球が何km出るとか、ホームランを何本打った人がいるとか、そういう話は覚えていない。僕の記憶に残っているのは
 「いいか、大リーグのピッチャーはすげえんだぞ。フォークボールを投げると指の間にものすごい力がかかるだろ?それで人差し指と中指の間が裂けるんだ。それでな、ベンチに行ってセメダインを出して、くっつけて投げ続けた選手がいるんだってよー」という話である。
 セメダイン!そんな身近な文房具を傷口につけて投げたのか!すげーしみそう!と恐れ慄いたのを覚えている。試合が終わったら、固まったのをどう剥がすんだろう。また裂けるて血が出るんだろうか…なんて想像をして、勝手に痛がったものだ。話の真偽はさておき。
 そんな話が脳裏に残っていて、小学二年になったらファミスタに「メジャーリーガーズ」が出たのだ。日本シリーズで優勝するチームより遥かに強く、全員4番バッターみたいにホームランを打つので、どんなにファミコンが下手な子でも勝つことができる。カセットを買った人も遊びに来た友達も、なんじゃこりゃ…と呆れていた。しかし、僕だけは友達に「メジャーリーガーズ」強いのは当たり前だ!と熱弁をふるった。だって、大リーガーってのは、セメダインをだぞ、と。
 
 同じく痛くてスゴイ話。
 中学生のころ、社会の先生が自由民権運動について教えてくれた中に、自分がいかに強い覚悟を持って思想を実現しようとしているかを演説していると、だんだん話がエスカレートしてくるという話があった。板垣退助も、演説中にいきなり刺されて「板垣死すとも自由は死せず」と言ったとか、超カッコいいけど真偽のほどは不明、なんて話もその中にあった。もうひとつの話がスゴイ。当時は「切りつけられて腸が腹から出てきたけれど、それを相手に投げて縛って演説を続けた」と言った人もいたらしいよ、と先生が言っていた。
 その後、高校や大学受験のために日本史を勉強していても、ついに「腸を投げた人」の話は出てこなかった。自由民権運動をしている政治家のうちで、誰がいつそう言ったのか真偽は定かではないけれど、とにかくそんな話が出てくるということ自体、人間の想像力って本当にファンタスティックで、すばらしいと思う。

 さて、僕の両手のケガも別にギターが持てないほどじゃないので、「痛みに耐えてギターを弾きました」という話にはならなさそうで残念である。逆に「痛みに耐えてコミケにCDを出しました」って言うとあんまりカッコよくないような…
 まあ、それよりもだ。ケガをして帰ったら連れ合いにはすごく心配されて、気をつけなきゃダメだよ!とけっこう本気で言われた。そして長女には「おとうしゃん、ばんそうこ貼ってあげるね」といたわってもらった。僕、けっこう大事にされてるんですよ?うははははは

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