2014年11月17日月曜日

内向的プロモーション ゲームレジェンド編 〜前編〜

 川口市で行われた「ゲームレジェンド」というイベントに行ってきた。ファミコンなどのレトロゲームのファンイベント/即売会だ。
 本当は録音を進めなきゃ…といっても家にいたら女帝(長女)の相手をしなきゃいけないので、どうせ22:30まで体は空かない。つまり、どうせ練習・録音やミックス作業は夜までできないなら、ゲー音部を聴きに行くついでに情報収集と宣伝に行こう、と思った。
 休日に娘を置いて出かけるのは気がひけるなあと思いつつも、この日は女帝のことを連れ合いにお願いすることにした。

 とはいっても、まず「宣伝」という行為自体に対して消極的、かつ人見知りパワー255の自分のことである。はっきり言って、何も用意しないでうまくいくはずがない。そう思い、今回はフライヤー(チラシ)を用意することにした。
 各イベントにはフライヤー置き場があると知ったので、そこに置かせてもらう。また、サークルの頒布物を買った時に、「こんなのやってます。よろしくお願いします」と言って渡したらいいんじゃないだろうかと思った。
 あと、偶然知り合った人に渡すとか、会場の出口で配るとか。(そんな積極的なこと自分にできるのか、とは思いつつも)

 イベント前日、女帝が眠りについた22:30のことである。さあフライヤーのデザインを考えるぞ、と思ったらある出来事を思い出した。
 何年か前、僕が髪を切りに行った時のこと、ドアを開けて店から出てきたらそこに小さな女の子が二人立っていた。店に入るのかなと思ったら、そうではないようである。二人は僕の方を見て、「よろしくお願いします」とチラシを差し出した。
 見てみるとそれは、バレエの発表会のお知らせだった。二人は髪を後ろできちっとまとめていた。レッスンの前後なのかもしれない。寒い季節だったけれど、その場にずっと立っていて、道行く人にチラシを渡しているのだ。
 立派だなあと思った。音楽も踊りも相手があってのことで、目の前の人に向けて心を込めて表現をする。であれば、お客さんも自分が足を使って勝ち取らなければならない。自分も謙虚にならないと、と感じた。
 そして、自分の手でチラシを配るよう指示をした、(おそらく年輩の)街のバレエ教室の先生の顔を思い浮かべた。きっと留学経験があって、今も生活の中で暇さえあればストレッチをしているのだ。

 そういうわけでフライヤーには勝手に良いイメージを持っている。以前行ったイベントでは印刷所に頼んだであろう綺麗なチラシばかりが並んでいたが、僕は敢えてマジックで書き、白黒でコピーしようと思った。新聞の折り込み広告でも、スーパーの野菜や肉の写真が並んだきれいな写真より、手書き一色の八百屋のチラシの方が見てみようという気になる。
 …いや、僕がそうするだけで他の人はどうだかわからないな。やっぱり綺麗な方がいいのか?しかし、年配のバレエ教室の先生だって教え子に「あなたがた、手書きでチラシをお作りなさい」とか言うような気がする。だから手書きでいいのだ。

 そういうわけで書いたチラシがこれ。
 


 うーん、どうなんだ?これ。
 しかし家庭用のプリンタでさえフチなし印刷できるのが当たり前なのに、コンビニのコピー機って四辺5ミリも写らない範囲があるのね。それに苦労して深夜のローソンで怪しいチラシをコピーしては失敗しまくり、結局家に帰ってからはみ出した部分をカッターで切るという作業をしてしまいました。
 これ。



 いや、ここまで来て気づいた。このチラシって、僕らがゲームミュージックのバンドをしていて、ちょっとハードロック寄りで、昔のコナミやFFの音楽を演奏してて、CDを出すということが何も伝わらない!
 作っているときは情報量が少ない方がカッコイイと思っていたけど、これ要するに、昔のパラメキア帝国を知っている人が「おー、また始めたのか」と思ってくれる、ただそれだけの紙になってしまった。

 まあ、いい。こうなったら、もう僕という内向的な人間が自分のバンドのフライヤーを作って、それを人の手に渡す、それが目的だ。バンドの宣伝をしにいくというより、謙虚になって自分の魂を清めるため、ということにしよう。もういいよそれで。

 …さて、そこまで作業をして寝たわけだが、知らない人に会うと思うと緊張して朝5時には目が覚めてしまった。仕方がない楽器の練習だ!とやっていて、プリキュアが始まるくらいの時間になったら女帝や連れ合いが起きてきた。そこで口をついて出たセリフ。
 「なんかさあ、知らない人に会うと思うとさあ、行きたくないんだよね…」
 我ながら引きこもりのような発言であるが、十年来の付き合いである連れ合いには「まあ、そうなるよねー」みたいな感じで軽く流された。
 さて、カバンに財布を入れたり、着替えたりしてとにかくグズグズしていたら、既に僕が出発したと思った連れ合いの声が二階から聞こえてきた。
 「なにこれ!?フライヤー忘れてるじゃん。バカだ!電話かけるか!」
 
 はじめてバカって言われた!そして家の中にいるのに!
 バカって言ったな!まだいるよ!しかも忘れていかねーよ!と二階に上がると、「いや、君ならこういうのを忘れて行きかねない」と居直られた。そんな深夜のコンビニに行ってさんざん苦労して、しかも早朝に一枚ずつカッターで切ったものを忘れていくなんてことするか!と思ったが、まあ確かに、するかも。僕なら忘れていくな、きっと。

 そんなこんなで家を出た。  つづく。

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