2014年11月19日水曜日

内向的プロモーション ゲームレジェンド編 後編

 前回は行くまでの逡巡に字数を費やしてしまったが、やっぱりいい大人がグズグズしているのはみっともない。今日はイベント自体についてと、いかに私が前向きに、英雄的な勇気をもってして初めて会う人としっかり会話して帰ってきたかについて、つぶさに書いてみようと思う。

 まず、iphoneに勇気をもって行動するときのプレイリストを入れた。筋肉少女帯やメロデス、イトケンのNever Give upとかYesの燃える朝焼けとか、テンションを上げるしかない曲ばかりが入っている。これを聴いていて途中で嫌になって帰ってきたことがない。実に前向きな行動である。

 さあイベント会場に着いたという所で、聴いている音楽は伊福部昭の怪獣大戦争メインタイトルに。これ以上ないくらい、やたらめったら気持ちを鼓舞する曲でちょっと疲れてきた。そろそろ谷山浩子とか聴きたい。ゆーがーんだー王国にー、ぼーくーたちはー住んでるー…
 いや、ダメだ。前向きに前向きに。

 会場の入り口近くにチラシ置き場を発見したので、入場するときにスタッフの方にお願いしてフライヤーを置かせて…もらわなかった。
 あ、あれー?
 とりあえず入って様子を見て、ちゃんとレトロゲームのイベントが行われているのを確認してから置かせてもらおうと思ったのだった。まあ、間違えてEXILEのファンイベントでした、とかは無いと思うけど、こういう時ってすごく慎重になったりしない?
 
 会場のドアを開けてみると、それはもうタイムスリップしたような空間で、何十年も前のゲームが展示されていたり、そのグッズが売られていたり、しかもそこに人がたくさんたくさんいるというのが驚きだった。ああ、僕はゲーム音楽のバンドなんて10年ぶりに再開して、勝手に不安になっていたけど、まだ大丈夫なんだと思った。

 そこでUターンし、フライヤーを置かせてもらうことにした。「あの、チラシを置かせてもらってもいいですか?」よし。噛まなかった。
 するとスタッフの方はこう言った「どうぞ。あっ、パラメキア帝国さんですか」
 
 え、この人僕らのこと知ってるの?やった。10年前のことを覚えていてくれる人が他にもいたんだ!
 いや、ちょっと待てよ。他にパラメキア帝国っていうサークルがあるのかも。しかもそっちの方が有名だったりして。もしくはFF2のパラメキア帝国を知っていて「あなたのサークルはパラメキア帝国って言うんですね」という確認の意味で言ったのかも。
 すると、その人は「ゲームミュージックだと、この辺に置くといいですよ」と言った。
 やっぱそうじゃん!知ってるんだよ。しゃべれ、何を?
 ありがとうございます、覚えていてくださったんですね。また頑張ります。くらい言えばいいのに頭が回らなかった。結局「よろしくお願いします」か何か言ってそそくさと会場に戻ってしまった。

 頭をぐるぐるさせながら会場を歩いていたら、くにお君のTシャツ売り場の人に「そこの素敵な男性の方!Tシャツいかがですか?」と呼び止められる。売っているものも昭和だけど、かける言葉も思いっきり昭和だ。「お似合いになりますよ!」って、くにおのTシャツが似合うように見えるのか。僕のどこにツッパリ要素が?いや、言葉通りに受け取ってもしょうがないんだけど。

 その先で今回の目当てであるゲー音部が演奏していた。ぐずぐずしていて開演に間に合わなかったのだ。Ys2のTo make the end of BattleやMotherのPollyannaをやっていた。いいなー。
 メンバーがとても多く、普通の室内で演奏していることもあり、アコースティックな楽器がメインとなったアンサンブルだった。楽器を持って集まってきた人が自由に、楽しく合わせている感じ。「耳をすませば」でカントリーロードを演奏するシーンがあるでしょ、パッと見てあれを思い出した。

 全部の楽器をバランスよく聞かせるとか、アンサンブルをしっかり聞かせるということじゃなくて、とにかく好きな人が好きに合わせるという目的をしっかり果たしつつ、上手な人がきちっと全体をしめている。キーボードをさば夫さんという方がやっていて、てまりんにもすごく上手だと聞いていたけどその通りで、他にもケーナってこんないい音なのかー、とか、サックスすごくいいなーと思った。ジャズとかフュージョンとか全然聴かないしわからなくて、正直言ってサックスを良いと思ったのって、この時が初めてかもしれない。ホントすみません。(エレキギターとあんまり一緒にならない楽器というのもあるかもしれない)
 恐るべきレパートリーの多さに目が行くけれど、サウンド面でもやりたいことがハッキリしていて、これを聴いて満足しない人はいないと思った。
演奏している人にも、お客さんにも共通して漂っている幸せな雰囲気がすごく印象的だった。いいなー。僕もやりたい。
 (やりたい、やってみたいと思わせることも、このバンドの得難い魅力なんだと思う)

 聴いていたらリクエスト用紙を渡してもらった。その場でうーん、と迷ってしまった。以前、自分でやっていても、⚪︎⚪︎の85面をお願いします、とかそんなこと言われて、「知らないよ!85面って言いたいだけじゃないの!」とか思ったことあるし、いや、85面はないか。
 とにかくリード楽器が活躍しそう、かつ演奏が盛り上がりそうな、「火の鳥」をリクエストすることにした。
 ……あれ?
 まいあがってるのか緊張してるのか両方なのか、「火の鳥 鳳凰編」って書けない!ふだん漢字を扱う職業なのに!やばい冷静になれ、よし!思い出したぞ。ふー…「鳳凰編」。それで、曲名は「大和」。これでよし。うわー、「大和」って書かず「大知」って書いて提出してしまった!ちょっと待ってください。書き間違えました。
 いや、やめた。リクエスト用紙を渡したのはゼルダ姫のコスチュームに身を包んだ女の人だった。僕がコスプレの人に話しかけられるわけがない。

 ステージの第3部が終わったあたりで、行く前にコンタクトを取っていたゲー音部の代表、麺さんに挨拶をした。僕はネットの中で一度挨拶をした人にならけっこう話しかけられるのだ。デジタル世代という感じでしょう。
 麺さんは気さくな方だった。こんなに人が集まってくるのだから嫌なこともあるだろうに…。うう、僕みたいなギスギスした人間とは違う。
「何か弾いていきますか」と言われたけれど、人の楽器を貸してもらうのも、人の晴れ舞台に勝手に踏み込んでいくのもよくないと思って遠慮した。しかしゲー音部の演奏を聴いてすごくいい気になっていた僕は「バンドのチラシをお客さんに配ってもいいですか?」と聞いた。なんかここに来るお客さんで、この雰囲気なら配ってもにらまれたり、その場でケッとか言われて丸められる感じもしなかったのだ。

 快諾してもらってチラシを配ることにした。第4部が終わった後、出て行くお客さんに「お願いします」と渡した。バレエの女の子たちを思い出せ、笑顔で感じよく渡すんだ!きっとバレエ教室の先生もほめてくれる。
 そうしていたら、引き返してチラシをもらいに来てくれる人や、「あ、パラメキア復活するんですか」と言ってくれた人もいた。冬コミ行きますよ、と言ってくれた人も、元気づけてくれる人も。ああ、ホントによかった…

 ゲー音部の演奏が終わると間も無くイベント自体も終了し、僕はゲー音部の打ち上げに参加させてもらうことになった。
 いや、信じられないけれど行ってきたんですよ。人様の打ち上げに。そこで余ったチラシを配ったり自己紹介をしたりできれば、と思ったけれど、まあそれは自分に期待をしすぎだった。そもそもこういう大声を出さないと自分の声が聞こえない空間がもうダメなのを忘れていた。

 そんなわけであまり多くの人とお話できなかったのだが、近くに、素晴らしい演奏だったキーボードのさば夫さんと、やはりその日「ギースにしょうゆ」で拍子木を叩いてその場の雰囲気を全部持って行ったFCBのメイジソさんがいて、一緒にお話しをさせてもらった。かたや北海道からこの日のために参加している凄腕の奏者で、かたや1000人規模のイベントで重要な役割を担うプレイヤーで、二人とも本当に強いこだわりを持ってやっているというのはあるけれど、とにかく話していて安心する感じの人達で、また僕は勝手にああ、僕のやっていることはOKなんだと思った。そして、今週これからCD制作の追い込みをかけるけれど、きっと頑張れそうだと思った。
 
 帰ってからギターの練習をした。CDもそうだけど、ライブをやりたい欲が溢れてきた。イベントで買ったコレをギターにつけて出ようかな。


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