2014年12月26日金曜日

CDのプレスを発注して届くまで

以前活動していた時には、音源を作ったらCD-Rに焼き、ジャケットはプリンターで刷ってカッターで切り…とやっていた。ライブ前とかでも通販の申し込みがあったら手作業でCD-Rを作っていて、これで指を切ったらアウトだなぁ、とか思っていたものだった。
 その頃から、いつかCDはプレスで、つまり工場にきちんと作ってもらって、盤面が青くない本物を作ってみたいという気持ちがあった。

 以前プレスができなかった理由はまず、お金がなかったから。
 今はプレス料もだいぶ安くなった。そして経済的にも僕は野原ひろし(クレヨンしんちゃんの父)レベル近辺の生活はたぶんできているので、たとえばプレスをやってみてCDが一枚も売れなかったとしてもまあ、大人の趣味としてはこのくらいは許容されるだろう。彼と違ってゴルフとかパチンコとかしていないし。
 もうひとつの理由が、納期である。プレスに出すならどの業者を見てもだいたい発注から納品まで2週間くらいと書かれている。コミックマーケットに出す二週間前にCDの作業が終わるなんて、以前からしたら精神と時の部屋でもないとまず無理であった。(これは、夏にCDを出したときからすぐ作業をスタートさせて、サボることなく続けて冬を目指しても、ということである)
 それを今回はマスタリングまで11月中に終えたのだから、まあ音源制作について色々な変化はあったにせよ、かなり頑張れたと思う。

 しかし、プレスに出すというのは録音してミックス・マスタリングするだけの作業ではないのだ。もしも、いつか自主制作でCDを作るという人がいたらぜひ覚えておいて欲しいのだけど、まずジャケットなど印刷物の準備が要る。

 今回はジャケットをお願いして、CGではなく紙に絵の具で描いてもらった。描く人がデジタルが得意かアナログが得意か、ということも勿論ある。けれど、僕は紙に描かれたものには指を絵の具で汚して描いた「重み」があると思う。CDのジャケットはもちろん印刷だけれど、製品を手に取った時に作品としての存在感があるのはCGではなく絵だと勝手に信じているのだ。
 今回は原稿のサイズがA3を超えているので、家庭用のスキャナでは無理で、街の印刷所に行ってスキャンしてもらった。これが、ちゃんと頼んでいるのに持って帰ってきたら解像度が足りなかったり、JPGになっていたりして他の業者に頼んだり、さんざんすったもんだしたのだ。数値や形式の問題だけではなく、原稿をgrassiaさんから受け取った時の感動がジャケットに再現されていないと、嬉しいのは僕とメンバーだけになってしまうから。
 スキャンが無事終わったら、今度は画像を紙ジャケットの形にするためにPhotoshopとIllustratorで加工する。この辺は分かっている人なら当たり前の作業だけど、慣れない人には大変だと思う。

 一方、CDのマスターはFedexという国際宅急便でプレス工場のある台湾に送った。プレスは国内と海外(だいたい台湾)があるが、僕はその辺はこだわりが無いので安く納期も短い台湾に頼むことにした。
 通関のしきたりで、ジャケット裏面とCDの盤面にPrinted in Taiwanと入れなきゃいけない、と言われた。これもまったくこだわりがないし、なんか書きたくない人もいるらしいが、台湾で作ってもらったことを隠すこと自体おかしいのでしっかり入れた。業者によると、すげー小さい文字でわからないように入れるバンドとかもあるらしい。なんだそれ、Made in USAとかなら大きく書くのか。いい加減にしろ。お世話になってるくせに。コカコーラでも飲んでたらよろしい。

 今回はe-trekというメーカーにお願いしたが、日本語が上手な人がいてメールでの質問やリクエストにはかなり親切に応えてもらうことができた。ジャケットがちょっと特殊だったのでここにお願いしたのだが、対応や完成した製品を見ていても選択に間違いはなかったと思っている。
 じゃあ何が困ったかというと、このFedexという宅配業者である。まあ海外に物を送るのってそういうものなのかもしれないけど、「もう頼まねえよ!」と言いたくなるくらいの酷さで閉口した。

 Fedexのサイトには、「台湾に翌日届く」と書かれている。まあ早くマスターアップしたので余裕はあったけれど、それがまったく翌日になんか届きゃしないのだ。
 まず、業者にCDを渡したのが12月5日の金曜日。その後、荷物の追跡をしていたらもう寿命が縮まるかと思ったよ。

 12/6土曜日、成田のFedex営業所。(あれ?翌日なのにまだ成田?)
 12/7日曜日、成田のFedex営業所。(ああ、土日はお仕事休みなのね。ヤマト運輸とかの常識でいるのは違うのか)
 12/8月曜日、成田のFedex営業所。(は!?)
 12/9火曜日、成田のFedex営業所。(おいおい、なにこの熟成期間?牛肉の赤身か?翌日配達って言ってなかった?)

 結局、火曜日のうちには荷物が動くことがなかった。しかもこの時点で配達予定が「未定」に。1日を争って録音とかしていた自分やメンバー、眠い目をこすってマスタリングしたボブの努力はいったい…。
 この時点でe-trekからは、納期は「12営業日」だという知らせがあった。これは実はどこでもそうらしい。営業日に土日は含まないので、e-trek以外だとだいたい14営業日と書かれている。これは土日も含めると3週間にまたがるということになる。
 メールで質問をしたら、12/9の火曜日までに届けば大変だけど12月25日までに日本に届ける、とのこと。

 12/10水曜日深夜2時、Fedex経由地に到着。(GUANGZHOU CN)
 中国の広州?まあ、台湾に行くには中国を経由しなきゃいけないんだろうな、などと思っていたら…
 12/10水曜日の朝6時、輸送中。(ANGELES CITY PH)
 あ、あの…PHってどこの国?
 ふぃ、ふぃりぴん?なぜ?

 その後はすんなりと台湾に入り、その日の夕方には工場に着いたのだった。しかし翌日届くはずが、金曜日〜水曜日の6日間もかかってしまった。そして、水曜から12営業日だと最短で12/26(金)に完成。そしてもしまた輸送に6日かかったら……
 終わった、完全に。コミックマーケットは12/30(火)なので、前日の29日中に自宅に届いてなかったらつまりそれは落としたということだ。しかも27,28日は土日。詰んだ。

 すぐCDRを焼く準備をした。泣きながら。
 なんで一ヶ月前に録音を終わらせて、完成しないなんてことがあるんだ…。そういうもんなのか。やっぱり僕らはカッターナイフを手に内職するのが身分相応なのか。
 CDRとジャケットを作ってくれる国内の業者もあるようだが、だいたい50枚で2万円くらい。原価で売るとすると1枚400円でCD-Rを手に取ってもらい、僕らの手元にはコミックマーケットが終わった瞬間、プレスCDが山のように届くのだ。もういやだ。

 何度か台湾へのメールと電話のあと、祈るような気持ちで待っていたら……
 届いたー。
 

 なんと12/24。サンタさんありがとう!じゃなくて、e-trekがすごく急いで作って、土日にかからないよう平日の真ん中に送ってくれたのであった。e-trekの林さんありがとう!

 かと言ってすぐ開けることはできない。なぜならそれは僕が小心者だからだ!これでもしCDがちゃんと再生できないとかジャケットが逆さまとかだったら心臓が止まる。
 それで、連れ合いが戻ってきてから封を切ってもらった。
 
 

 大丈夫だー。よかった!ちゃんと紙ジャケの印刷もきれい。CDも音飛びがない。
 そんなわけで、いま手元に完成したCDがあります。パロム&ポロムのジャケット超きれい。そして、いい音楽だー。(酔っ払っていません)

 だが、プレス代金を安くするためにこれだけの量を作ったけど、これどのくらい売れるんだか心配になってきた。
 まず僕の分でしょ、ボブの分、てまりんの分、grassiaさんの分、ビデオ撮影を快く引き受けてくれた方の分、あとleSYNさんに送る分、これで6枚でしょ。あと、コミケに行くよ!と声をかけてくれた人が5人くらいいるので、あわせると11枚。
 このブログを見ている人は、だいたいファミコン世代だから、なかなか年の瀬にコミケまで来たりできないだろう。そしたら相手は初音ミクとか聴いている人か。あと、10代?無理だー!
 お客は全部で5人くらいか?じゃあ持っていくCDは、多く見積もって15枚くらいになるだろうか。

 こういうとき、バイトで1日で甘栗を100キロ売ったという実績の持ち主である連れ合いに、当日の売り子をお願いしたくなるが、長女&次女の世話をお願いする以上それは無理である。
 じゃあ、僕とボブが売り子をがんばる?猫背で?
 これは本格的にまずい気がしてきた。こうなったら連れ合いに売り子の極意を伝授してもらおう。まず、もごもご喋っているのがよくないんだろうな。当日まで発声練習だ。「あまぐーりーぃ、あまぐぅりー、あまぐり!」

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